<緊急報告・荒れる中学>【その1】消えた校長と教頭----無法地帯へ「自壊」

この学校では、昨年から一部生徒の授業妨害が続き、昨秋以降、校長と教頭が心労で体調を崩した。2人は教育現場を離れ、3月に後任の校長が赴任するまで、学校は1週間にわたって管理職がいない状態になった。

 妨害したグループは8人。うち1人は約1年前から、昨秋からは全員が、「個別指導」(町教委)として、学校内の美術準備室に「隔離」された形になっていた。だが、準備室に常駐する教師はいなかった。生徒たちはテレビゲームやポットを持ち込み、たむろしては飲み食いした。様子を見た保護者の1人は「まるで無法地帯だった」と振り返る。

 荒れ始めたきっかけはよく分からない。町教委によると、グループは昨年7月、他の中学校の生徒とのけんかで2人が逮捕・補導された。復帰した2学期から授業妨害が激しくなり、1人が髪を金色に染めると仲間が倣った。

 試験中にラジカセを大音量で鳴らす▽2階から椅子を放り投げる▽校舎入り口にバリケード状に椅子を積み上げる▽職員室内を集団でうろつく……。生徒に注意し、暴言を吐かれた女性教師は体調を崩し学校を休んだ。

 「おれらが悪いん?」。トサカ状の髪を金色に染めたグループの1人は何を聞いても「知らねー」と繰り返し、記者をにらみつけた。「初めから見た目でおれらを判断したのは先生やん」。別の1人も、とがった声で吐き捨てるように言う。「先生は注意せん。放し飼いやん。言うこととやることが違う。汚い」

 激しい授業妨害と奇抜な外見。周辺からはまた違う見方も漏れてくる。同級生はグループの1人を「年下の面倒もみるし、優しい」。ある商店主も「一人一人はいい子」と語る。保護者の1人は「他の生徒には危害を加えていないし、あくまでも先生との問題」と、通常のいじめなどとは異なる非行という見方を示した。

 1枚の写真がある。グループの生徒5、6人が大人たちと写った写真だ。昨年12月、警察官や補導員らでつくる「ストップ非行防止プロジェクト」の関係者が呼びかけ、近くの山まで片道1時間のハイキングに出かけた。

 「頑張ってくださいよ」。ジャージー姿の生徒たちは、へばり気味の大人たちにそう声をかけ、黙々と山を登ったという。山頂での記念写真に、学校で見せる険しさはなく、照れたような笑顔が浮かんでいた。

  ◇   ◇

 「学校は結局、彼らの問題を抱え込んだまま、自ら壊れていったような感じがする」。関係者は振り返る。校長室で暴れた容疑で、14日の卒業式直後に、生徒2人が逮捕されて1週間。なぜ2人の管理職が倒れるに至ったのか。小さな町の中学校で起きた“自壊”の現場を報告する。(その2に続く)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080326-00000024-maiall-soci

>「外見で判断するな」
これはごもっともな意見だと思う。彼らの服装はただ単にファッションであり「仲間が着ているから俺も着る。」と言うようなある種の仲間意識からであって、特に意味は無い。あるとすれば他の生徒と違う制服を着る事によって「目立ちたい」とか「先生に構ってもらいたい」とか「俺は他の生徒とは違う」と差別化を図るだとか、至って単純だ。
 しかしそんな彼らは自分と違う価値感を持つものに対しては極めて排他的だ。まったく違う価値観を他人に押し付けられた時に彼らの心は激烈に閉ざされ、その違う価値観の持つ者に対し檄高する。ここでは彼らに聞く耳は無く、ただ単に反抗する。反抗してナンボ、の世界だ。

 こういう理由から学校側では彼らを隔離しようと、又は腫れ物に触れるような感覚で彼らの気持ちとは正反対の方向へ導くように彼らの居場所を奪っていく。

 これでは彼らの気持ちは閉ざされる一方だ。彼らの気持ちは極めて純粋で、またあどけなくまるで少年の様だ。そんな心を開くのは彼らと先生との「信頼関係」を置いて他には無い。先生が彼らを真剣に認めてやる。理解してやる。そして褒めてやる。そして叱ってやる。これだけだ。結果なんか求めてはいけない。ただ彼らと人間同士、真剣に付き合う事しかない。



彼らは他の生徒よりちょっと欲張りなだけだ。